自分の歌声にコンプレックスがある話

 最近はまりはじめたVTuberさんの歌うまい人たちの歌とか色々聴いてたら、あーーーーいいなーーーーーってすごく思って、なんか凹んだ。

 というのも、パワフルなチェストボイスがのびやかだし、感情も乗せられて、すごく自由に歌ってらっしゃるなって感じがして、めっちゃ羨ましかったのである。

 ちなみに何人か聴いてるけどどれも男性Vの方々なわけだけど。

 だからなんか、チェストボイスに憧れがあるだけなわけじゃないなっていうのも、今日ずっと歌っていてわかったことだった。

 

 わたしは性自認も性格(この言い方は適切じゃないかもだけど)もなんていうか中性的な方だ。
 自分が区分けされるのであればまあ女に分類される身体をしていることは、まあそれが自分の身体なので受け入れようと思うし、恋愛の対象も性愛の対象も男の人なので、まあ普段は性別女で通しているものの、悩みがないわけじゃない。

 少年時代には自分のことは正直少女よりも少年と思っていた気がする。
 対外的な振る舞いはむしろ女性的だったかもしれないけど、自分で自分の中に対してする独白はずっと少年の視点だったから。

 

 そんなわたしは自分の歌声にとてもコンプレックスがあった。

 ちっとも中性的じゃないのである。

 むしろガッツリハイソプラノである。
 夜の女王のアリアとか趣味で歌ったりする音域である。

 やれやれ。

↓声楽の練習風景(音だけ。特に2つ目は途中で練習室の時間が来たのでやめた)

 

 そんな声だから、昔から声綺麗だねと褒められることが多かった。

 でも、その褒め言葉に対して、わたしの内心は恐ろしく複雑だった。

 好きで綺麗な声をしているわけじゃないのである。
 何を歌っても叫んでも、「綺麗な歌声」としてしか届かなかったらどうしよう。
 そう思って、自分の声が嫌いになった。

 乗り越えたと思っていたのに、ただ単に声楽に没頭するうちに忘れていただけで、まだまだ解決していない問題だったみたいだ。それが良く見てうわーーー素敵だなーーーーー!!!って思った歌動画たちによって刺激されたってことだろう。

 わたしだって綺麗に歌いたいわけじゃないのだが、声質的に綺麗に歌うのが一番まとまりが良くてクオリティが保てるのである。ううううううう。音域にもよるが。それにそもそもハイソプラノなので声楽にぴたっとあってしまっているのだそもそもの元々の声質が。ていうかわたしが歌うだけでどうしても綺麗になっちゃうんじゃないだろうか(←多分これが一番悩んでいるポイントだ)。あああ。

 自分の曲の「ヒトミ」は、(性別に関するもやもやをなんとなく込めた曲であるのもあって)割と低めの音域で歌えたので、個人的には、綺麗とはまた違う、もしくは綺麗であっても影のある仕上がりになったと感じていて満足している。

 

 いつでも自分の声が嫌いなわけでもなく、存分に利用させてもらっている曲もあるのだが、
 なんかあれだ、やっぱ、歌のお姉さんみたいな感じにはわたしはなりたくないんだけど、どうしてもそういう歌い方が板についてしまっているあれで……
 というか、この声を存分に生かして歌う歌い方は、やっぱりそれは「綺麗な」歌になってしまうんじゃないか。
 本当はわたしは、歌を通して気持ちを伝えたいのに、歌姫にしかなれないんじゃないか。

 だからって、わたしが自分の声が綺麗なことに悩んでいるのと同じ世界同じ場所同じ時間に、絶対自分の声は綺麗じゃないって言って悩んでる人がいるだろうし、どこまで行っても無い物ねだりなのは百も承知なんだけどさ……

 どうするのが良いのか全然わからない。

 

 考えすぎかもしれないけど、でも、考えていて少し思ったのは、歌唱力と歌で伝える力っていうのは、重なるところもあるけど重ならないところもあるのかもしれないってところ。

 わたしが見てたVTuberさんは、歌唱力に表現力を上乗せしてる感じがしたから、それがすっっっっっっごくすごいなって思ってたんだけど、
 わたしがそうしようとすると「歌唱力」を通るせいで綺麗になってしまうなら、やっぱり今までみたいに歌唱力を犠牲にしても……いやなんか違うなあ。

 

 わたしが歌うことを楽しむと、女になっちゃうんだよ。

 それが辛い。
 すごく辛い。

 

 本当は人の心を強く打ちたいのに。

 

 ……でもやっぱり、自分の声にだって好きなところはあるな。
 改めて自分の歌声を聴いてみたら、やっぱり好きだと思えた部分もある。

 

 もしかしたら、「綺麗な声だね」って言われたことが呪いになって、
「わたしの歌はパワフルに人の心を打つことはできない」って思い込みを形成してしまったのかな。

 

 ただでさえ、どんな形であれ、自分の気持ちを伝えるのが下手くそなのに、
 だってどうせ伝わらないと思ってるんだもん、だから伝わらなくてもいいって諦めてるんだもん、
 歌でさえ伝わらないんじゃあ、もうどうしていいかわからない、って思うから、
 自分の歌声が綺麗なことが恐ろしくてしょうがない。

「伝わらないんじゃないか」……いや、それどころじゃなくて、「どうせ伝わらないよね」っていう気持ちは常に色んな時にわたしの周囲を取り巻いていて、それは歌う時だってそうなの。

 伝わってほしいけどさ、もう具体的にどんな気持ちかっていうのはわからないんだよ。
 そんなに具体性のあるエピソードに因んだ感情とかですらないんだもん。
 想いを想いのまま伝えたいから、詩や歌があるんだから。

 でもそれじゃわかりにくいとか言われたら、もうどうしたらいいかわかんないよ。

 わたしに気づいてほしいしわかってほしいよーーーーーーーーー。

 

 そんなわけで、音楽活動をしています。

 ブログとか文章を書くのも好きだし詩を書いたり朗読したりするのも好き。

 何卒……何卒……

 YouTubeチャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCEfK758Z6YnBXVfXyxsKhMA

 

 追記:
 でもやっぱ自分の曲聴いてて思ったけど、うまいとかの評価軸じゃない歌い方で別にいい気がしてきた。だってシンガーソングライターだし。