「ほんの一握り」って言葉がさ、わたしは大嫌いなんだよね。
そんな呪いのような言葉を唱えてくれるなよ、って、ずっと思ってた。
夢を叶えたいと思った時から。
夢は叶わないって、小学校の時にもう、同級生の友達が言い始めた時から。
音楽や文芸に関わり出した時から。
何でそんなこと言うの!?!? って思ってた。
ほんの一握りなのは、きっともっと別のことでしょって。
そもそも、一体その「一握り」って、わたしたちが誰に握られるって云うの?って。
その手は、いったい誰の手なの?
神?
運?
縁?
じゃあ、その神とか運とか縁のことを、「ほんの一握り」とか云うあんたは、ちゃんと考えたことあんの?って。
そりゃ、さ、未来のことはわからないよ。
自分がどこにいるのかも、この先どこにいくのかも、いつまで行ったらどこに辿り着くのかも、何もわからないし、確証も無い。
そんな世界を生きていくのは、簡単じゃない。
ましてその中で、辿り着きたい方向を、理想の景色を持ち続けることは、とても苦しいことなのかもしれない。
でもさ、その苦しさだって、その「ほんの一握り」っていう呪いのせいでさ。
楽しく夢を見続けることだってできるはずで。
その「手」は、もっと温かくてもいいはずで。
神や運命に握られるんじゃなくて、わたしたちが、体温のある、生命の息づくこの手で、運命を掴んだっていいはずで。
夢だけじゃない、恋とか友情とかに関して言えば、他の誰かの手もそうなのかもね。
掴みどころのない、引っかかるところのない、
だからこそ不安で、孤独で、何も見えない世界で生きてるなら、
その世界の流れを信じて、たゆたってみてもいいと思う。
宇宙の中で一人ぼっちなんじゃなくて、
宇宙に抱かれているの。
わたしはそんな宇宙を信じたいし、
この曲の中に、そんな宇宙を閉じ込めた。
大事なものは、
こんなわたしの小さな手でも掴めるほど、シンプルなもの。
だからこそ、密度の濃い光で輝くの。
だからこそ、わたしの身体で抱きしめられるの。
夢がわたしを、一握りの人々を選ぶんじゃない。
わたしたちが手のひらを伸ばせば、掴めるように、
夢は、この宇宙の中で光って、自分の居場所を知らせてくれている。
「一握」。
8月30日に発売されたわたしのアルバムに収録されています。
ぜひ聴いてみてね。
宵部憂 3rd Album「神話的存在」
CD版「制作に寄せて」コメント付
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あなたが、夢に、近づけますように。
夢の輝きを掴んで、抱きしめられますように。
宵部憂