どんなにしっかりしようとしてもね、しっかりすればなくなるはずのミスも弱さも無くならなかったよ。
私だっていっぱい工夫したし努力したし失敗したし反省したし改善しようとしたの、そうは見えなかったかもしれないけど。
ずーっと覚束ない脚元を見て玉乗りをしてた。この先にどうなってしまうのかわからないで、いつかは落ちちゃうんだろうなと思いながら、寿命までにそんな日が来なければいいと祈って、そのために色んな知識やルールを身につけながら。
でもそうしてたらね、恨みがいっぱい溜まった。
なんでわたし、こんなにずっと頑張り続けなきゃいけないの?
わたしが自然体に生きたって、みんなすぐ眉を釣り上げて怒るくせに、みんなはずるいよ。
どうせ助けてくれないし、優しい顔でわたしを正そうとするくらいなら、永遠にほっといてよ。完全な孤独をくれよ。
この先の人生ずっと、こんなに頑張らなきゃいけないなら、もう娑婆で生きていきたくないよぉ。
死にたいも、出家したいも、仙人になりたいも、神様になりたいも、けっきょくほんとうの本当の願いはいつも「楽になりたい」だった。
いつもマラソンを走ってるみたいだった。
ゴールしてもすぐにまた何かしらのスタートがあって、走らなきゃいけない。気を抜いちゃいけない。息継ぎとかキャッチアンドリリースぐらいの合間しかない。
いや、いやいや、わたしだって普通に酸素吸いたいんだけど!?
どんなに頑張ったって普通になんかなれないし、当たり前のことなんかできないし、怒られないように注意されないようになんてできないよ。
もう怒られないようにするのやーめた。
だってできないもん。
このまま頑張り続けて恨みや憎しみを溜め込んでいくくらいなら、もう絶対変わってやらないし、なにもかも聴き流してやるわ。
音楽用の耳せんのおかげで、わたしは前より大きな音も、人の強い感情も、外の世界も恐くなくなった気がした。少しだけまえより鈍感で、他人にとって都合の悪い人間になれた。
人の声を棄てられるようになった。
他人をちゃんと背景にできるようになった。
自分の考えすら取り憑かれたように考えちゃうのに、人に言説に取り憑かれたらさらに地獄だわ。
地獄だったわ。
もう目立ったってしょうがない、まともじゃなくたってしょうがない。
なによりも私の身体が大事だから。
諦めて、怒られよう。
それがわたしに必要な勇気なんだとおもう。