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 どうしてこんなに、好きな人に好きって言うのを恐れるんだろうって、すごく疑問だった。我ながら。

 だってさ、世の中には、「恋愛! それは素晴らしい!」という感じで、手段を選ばず一直線する子もいるでしょ。

 どうしてそんなに真っ直ぐになれるのか、
 どうしてそんなに恐れずにいられるのか、
 どうしてそんなに自分の「好き」が人を傷つけないし困らせないって思えるのか、
 わたしにはそこがどうしても腑に落ちなかった。

 でも、……そっか。
 わたしは、「わたしが『好き』とか『こうしたい』って言うと、人に迷惑をかける」って、思い込んでたんだろうな。

 人を巻き込んじゃいけないって気持ちが常にある。
 ……だから、ひとりぼっちで、孤立感の中で頑張ってる気がする状態になるのも、当たり前と言えば当たり前なの。

 人をわたしに巻き込んじゃいけない、付き合わせちゃいけないって思ってるから、
 そりゃ、一人になるし、
 人と打ち解けるのが怖いし、
 気を使いすぎて疲れてしまうし、
 誰とも繋がってないというか、誰も応援してくれないような気持ちになってしまうよね。
 それで、応援されたら怖くなるみたいな。

 わたしの「好き」「やりたい」は、わたしだけのものじゃ、ないのかもしれない。

 それは私利私欲だけど、私利私欲って、その欲求が個人の中に湧くのは、
(欲求不満の暴走でない限り)それがその人の使命だからなのかもしれない。

 ……っていうのも、まだ、仮説に過ぎなくて。

 だから、そろそろ、一回は、一生に一回は、
 思い切り人を巻き込みまくってみるっていうのを、
 しかも「結果的にそうなった、気持ちの上では巻き込んじゃダメだと思ってた、だから巻き込む形になってしまって自分を責めてしまった」みたいなやつじゃなくて、
 思い切って自分から、自分の意思で、選んでみる必要がある。
 そっちをやってみる必要がある。

「わたしに巻き込んじゃダメだ」って思ってたから、
「わたしが好きでいればいい」って、遠くからじーっと見て、好きだなぁって思って、でも叶わないよなぁって諦める、みたいなことばかりだったの。

 好きな人を巻き込んでみたい。
 すごく、大変だけど。

 怖いけど、いつかはやらなくちゃ。

 後悔だけはしたくないもん。
 あの時言っておけばよかったって、また言えなかった、また諦めたって、もう思いたくない。

 

 宵部憂